思うこと。

日々思うことを思うままに話したい。

迷子(おとな)を助けた話

とてもとても観光地な所に住んでいる。だからコロナ騒動直前は、地元はアジアからの観光客でごった返していた。すごかった。多分ここに住んでる人より中国人観光客の方が昼間の人数は多かったと思う。この3年間すっかり静かだった観光地にもこの春から観光客が戻って来た。今はアジアからよりも、ヨーロッパ、アメリカからの観光客が多い気がする。さてそんな観光地での話。

いつものように、観光人気スポットの裏道を私は散歩していた、犬をカートに乗せて。(これにはこれで事情があるのだがそれはまたいつか)密かに穴場と呼んでいる所でひと休みしてお茶を飲んで、さて帰ろうかと歩き出した所で、困り果てた顔で電話している人とふと目が合い、Excuse me と話しかけられた。何だかんだやり取りして、その人はツアーからはぐれてしまったことが判明し、その電話の相手はツアーのガイド(日本人)で、どうしたらいいか話をつけてほしい、ということだった。ええ、ええ、話してみますよ。

私に話しかけた人も相当困っていたと思うけれど、ガイドさんも相当困っていたようで、今考えたら見ず知らずの私に、たいして詫びることもなく笑、どうしたものかと相談して来た、って冷静に考えるとかなりおもしろい。私を信用してくれてありがとう、笑。聞いてみると、ツアーの人々はその場所から1キロ程離れた場所にいると言う。え!なんでそんなことになったの?笑。

その人迷子になってるんですよ、ってガイド氏は困ったように私に言ってたけれど、いやいやあなたが引率しなきゃだったのですよね、本来は?笑。ここまで来てもらうのはその人には無理だなあ、そこからなら春日大社の方が近いかなあ、どうしようかなあ、とガイド氏は電話口で迷っている。ツアーの一行は次は春日大社に行く予定なのかと確認すると、そうだと言う。それならば、南大門で待ち合わせれば、時間的にも地理的にもあまりムダがないのでは?と提案、近くまでは案内できるからと言うと、じゃあ南大門で待ってます!と言って約束を終えようとするガイド氏。待って待って。南大門のどちら側がいいですか?南側と伝えましょうか?と聞くと、南北は分からないと言う。なるほど。ガイド氏よ、もうちょっとだけがんばろう、うん!説明して、南側でと約束をして電話を終了。待ち合わせ場所を決めたから近くまで送って行きますねと言う旨伝えて、歩き出す私たち。迷子(おとな)、私、犬。

お決まりのどこから来ましたか?を尋ねると、カナダかららしい。カナダから来たら日本はずいぶん蒸し暑いでしょ?大丈夫?日本でほかの所にも行った?東京に3日ほどいて、それからこっちに来て、この後は広島に行く。あなたの赤ちゃん何ヶ月?え?あ、これはオールドレイディドッグで16歳だからもう85歳とかかなー。あー犬って1年で七歳分って言うよねーなどなどの旨をぽつぽつおしゃべりしながら歩く。それにしてもなぜこの人は迷子になったのか?と思いながら、ツアーは何人くらいいるの?と聞くと22人らしい。大半がアメリカ人でカナダ人も数人いるよーとな。で、どうしてあなたは1人で迷子になったのだろう…?いやこれは聞けなかったけど。聞いてもわからないわね、なりたくてなってないのだし。途中、東大寺大仏殿を通りかかり、ここ行った?って聞くと、うーん多分、て中学生みたいな答えが返って来て笑う。あーお寺ってみんな一緒に見えるよね?って言うと、そうそう、みんな同じだから違いがわからない、と正直な感想にまた内心笑う。お寺はお寺よねー特に西洋から来たら、日本てお寺ばっかり、どこ行っても同じって思わないかなーと私はいつも案じてるよ、ほんとに。

そうこうしてたら目の前に南大門が見えて来て、ちょっと階段があるから上って、門を超えてまた階段を降りた所でガイド氏と会えるから、そこで待っててね!って念を押してさよならした。後も見ず去っていく迷子(おとな)に、have a good day と声をかけると、振り返ってthank you for your help と言ってくれた。どういたしまして。ほんとに、どういたしまして。分かりやすく誰かの助けになることができて、とてもうれしかった。

ガイド氏に引き渡す所まではしない。迷子さんもおとなだしね。そこまで来れば人もたくさんいるから、英語を話す人も他にもいっぱいいるし、何ならほかのツアーガイドさんもいるし、もう困らないだろう。多分、少ししたらガイド氏もやって来て、勝手にどっか行っちゃダメですよ!いやあんたこそ放って行かんといてよ!って感じだったかもしれない。そしてお寺と神社て何が違うんやろ?と思いながら、昨日も似たのを見たような見てないような?と思いながら観光したのだろう。もう迷子にならないでね〜